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あなたがパワハラを受けて退職願を出したなら

結論、これは自己都合退職として扱われる、パワハラだから会社都合では?そう思う気持ちも十分わかるし、実際ネットで調べるとパワハラで退職=会社都合とよく記載されているからだ。ただしこれは従業員側から退職願を出していない場合だ。

自己都合退職と会社都合退職だと、退職時や退職後でいろいろと変わってくる。例えば退職時には退職金が従業員に支払われることが多いが、一般的に自己都合退職より会社都合退職の方が退職金は多い。だから従業員側としては、少なくとも退職金の多寡からすれば会社都合による退職にしてもらいたいところ。当然勤続年数に起因するので、入社して数年だと自己都合でも会社都合でもそう比率に差はないが、五年十年二十年と勤続年数が長くなればなるほどその比率は大きく開いてくる。数十万は解離してくるだろう…。

そして今日の本題であるが、退職願を従業員から会社に出す、この時点で従業員側に退職の意志があるとみなされる、よって会社の都合ではなく自己の都合ですよねっていうのがロジック。当然会社側に圧迫されて無理やり退職願を書かされたなどがあれば例外だが。一般的には退職届を出す=自己都合退職になる。正確な処置はケースバイケースで人事や社労士に相談した方がよいが、一般論ではそうなっている。

事実、弊社内でも同様なケースが直近あった。従業員同士のトラブルで従業員A氏がB氏よりパワハラを受けたと私に電話があり、電話で即退職の意志表示。ちなみに労働契約の解除は口頭でも成立するので、この次点で私が承諾すればそこで退職が受理されたことになる。A氏も興奮していたところもあり、週明け落ち着いたらもう一度話しましょうと、電話ではそこまでにした。

翌週の朝に、関係メンバーの事情聴取を録音しながら実施し、A氏へもヒアリング。当然録音しながらエビデンスとして記録、そこでA氏は退職願を私に提出した。おそらくA氏はすぐに他の転職先が見つかるだろうと考えていたかと思う。

しかし、実際はそう簡単に転職先が見つかるほどA氏の市場価値は高くなく、一週間ほど経ってから私に電話で退職願取り下げの依頼あり、面談するとハローワークに通っているが全然次の仕事がないらしい。とはいえ、私もビジネスで一度トラブルで辞めたA氏を再雇用するつもりなく、退職処理を進めた。そこでA氏からパワハラだと会社都合での退職だからそれに準じた退職金の要求があったわけだ。

で、冒頭に戻るわけだが、退職願をA氏が出している時点で退職の意志があるとみなされ、今回のケースは自己都合になる旨を伝えた。もちろんその前に弊社の社労士に今回の件を伝え、処置方法含め相談していたが。

彼は今後ただでさえそう多くない退職金を自己都合ということでさらに減額され受け取ることになる。実際にパワハラがあったか?というとそれも実はパワハラではなく、A氏の言葉遣いが非常に失礼で特に年上や上司に対して軽蔑的な言葉を使い、それに対しB氏と少しトラブったらしい。要するにパワハラでもなんでもなく、A氏本人が撒いた種ということだ…。

製造業では物づくりは人づくりとよく言われることがある。全くもってその通り、従業員の人材育成が不十分なのは私も含めたマネジメント、トップマネジメントの責任だろう。が従業員側も日々の言葉遣いや躾、己のビジネスマンとしての市場価値、退職届と自己都合退職の関係性、あなたも実務ベースでしっかり腹に落とし込んでおいた方がよい。特にサラリーマンをやっていると与えられた業務や作業をただ淡々とこなすだけで毎月決まった日に給料が振り込まれるので、ビジネス全体や人事労務に関することへの関心が薄れやすい。事実私も大企業でサラリーマンをしていた時はそうだった。所定休日の出勤や法定休日の出勤、深夜の割増料金、転職する際に自己都合だとどれくらい退職金が減額されるのか?あまり関心を持つことができなかった、それらは所与のものだという先入観があったから。

だが、あなたがサラリーマンでなくビジネスマンを目指すなら、従業員ではなく経営者を目指すなら、これらの事は非常に重要になる。

今日のエントリーは退職届を出すと例え退職理由にパワハラと書いても自己都合退職として扱われる、という弊社の実例を示した。少し抽象度を上げると、あなたがより良いキャリアを構築していく上で人事労務の最低限の知識は知っておくべき重要な要素であるということだ。

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