結論、その転職は高い確率で失敗に終わるだろう。転職の失敗の定義はひとそれぞれだが、ここでは転職後の企業で思った以上にValueが出せず結果3年以内にまた転職をすることになる、という意味合いで使っている。特に日系の大企業で 35歳まで過ごし、その後外資やベンチャーへの転職ではその確率はさらに上がる。
ちなみに私は外資系メーカーで工場長、日系製造業で取締役社長として中途採用の最終面接も対応しているが、転職の回数よりも三年以内の短期離職の繰り返しはネガティブなイメージはあってもそれがポジティブな印象になることは100%ない。要するにまた何かあったら会社を辞めるんでしょ、というインプレッションを職務経歴書から読み取るわけだ。
私の場合、トヨタ自動車で国内で10年以上、海外で3年以上過ごした。要するにどっぷり大企業の考え方や仕事の進め方、もっと言えばぬるま湯に使っていたことになる。トヨタ自動車の中では他の同期よりは早く昇格していたが、井の中の蛙だったわけだ。その蛙が大企業の看板の力を個人の実力と勘違いして、海外赴任中に外資へ転職した。そして見事、転職1社目は失敗に終わった。3年どころか1年も持たずに2社目へ転職した。このあたりのメンタル崩壊についてはまた別のエントリーで詳しく書こうと思う。
ちなみに転職1社目は外資Tier1サプライヤー、転職2社目は外資トラックメーカーでここで工場長になった。さらにその後工場長で実績が評価され今は日系製造業で社長をし、己のキャリアのあるべき姿を実現しているわけで、結果的には成功なのだが、それでも1社目の失敗はやはり大きなトラウマになっている。
では、なぜ私が失敗したか?突き詰めて考えればやはり大企業の看板を己の実力と勘違いした部分もあるが、やはり日系大企業と外資は全く仕事の質や仕事の進め方が異なる。その後転職を重ねた上でもっというと、仕事の進め方などは個々の企業によって異なる。要するのこの仕事の進め方の大きな変化点に短期間で適応できるか?が生き残れるか否かの大きなポイントになる。
一般的に35歳が転職の上限と言われる。それは転職先で適応し生存していこうとすると、ある程度柔軟なアタマ、柔軟な思考が必要であり、それができるのが新入社員で入社し10年〜15年が限界値なのだろう。逆に言うと入社して10年以上も1社にいるとその会社での仕事の進め方、価値観が支配的になり、転職してもその価値観を上書きすることができない。なのでよく『前の会社でこうしていた、この会社は遅れている、非効率だ』的なコメントが出てくるわけだ。
なので少なくとも私は転職35歳上限説は適応能力の限界によるものだと考えている。そして私は見事に転職1社目に失敗したが、その後転職2社目や3社目には成功している。ちなみに全て35歳を越えた転職活動であった。だとすれば実績があり転職先で適応さえできれば3年以内に短期離職という失敗を繰り返すことはないわけだ。
転職なんて所詮キャリア構築のための手段でしかないわけで、最終的にあなたが目指すものになれれば別に短期離職や転職回数が増えても問題でない。私もHow longよりもHow wellに重きを置いているので何も考えずにただ長期に漫然と組織にいることが正しいとは思っていない。それは生きているのではなく、死ぬのを待っていると言い換えてもいいかもしれない。あなたが本当に目指すのは、人生の最期の日に生き切ったと言えるキャリアだ。だからこそ人生の大半を占める仕事に必死に生きるべきだ。
転職にはある程度スキルがいるし、転職を重ねることでそれは磨かれる。あるべき姿として何を目指すのか?それは年収なのか?役職なのか?それとも家族との時間を優先したいのか?住むべき場所は東京エリアなのか?海外にチャレンジするのか?これらのファクターは数限りない。そして転職の面接もそれが日本語であれ英語であれ数をこなせばスキルとして向上できる。私は転職面接の指導もしているので、機会があれば私にコンタクトをとってもらってもよい。
あなたが大企業から35歳を越えて初めて転職するのなら、まず間違いなく転職先で『あれ、思っていたのと違う…』という時がでてくる。短期離職という狭義の失敗でなくても、広い意味で失敗に近い経験をするはずだ。だがこのエントリーを読んだなら、その1社目の失敗を織り込み2社目3社目を通してキャリを構築していくという戦略をとればよい。短期的にみたキャリアの失敗が、長期に見てより強固なキャリアを築くこともあるのだ。
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